この事件を境に、かあちゃんの「あっ」はボクにとって恐怖となり、身が縮む。トラウマだ。今では恐怖は薄れたものの「あっ」を聞くと、またなんかボクワルイコトをしたのかな?とやっぱり反射的に思ってしまうので、とりあえずはごめんなさいのポーズをすることにしている。
 ボクのごめんなさいポーズは、カラダを横にして、お腹を出して、片手を軽く上げ、耳はしょぼん。実はここだけの話なのだが、最近ではボクにも生活の知恵がついて、触らぬ神に祟り無し、負けるが勝ちということもわかってきたのだ。先に謝ってしまうと、かあちゃんの怒りも薄れる。ボクのこのポーズはかあちゃんにはイジケ犬に見えるらしい。
 ボクは「あっ」を聞かないうちに、かあちゃんの姿を見ただけで、ごめんなさいポーズをしてしまう時がある。すると、かあちゃんは「何いじけたポーズしてんの?また何かワルイコトしたんか」と聞いてくる。こういう場合は、ワルイコトをしたような気がするボクの反射的行動だが、今のところたいがいはお咎め無しとなっている。でも、時々、そのポーズを見てから、かあちゃんの「あっ」を聞かなくてはならない羽目にもなっている。